相続税対策としての生前贈与

相続税が高い日本

日本は、世界的に見ても相続税が高い部類に入る国です。どんなにお金持ちであっても、三代続くと普通の人になると言われている人で、多くの富裕層が相続税対策に頭を悩ませています。相続税対策の一つとして、生前贈与を活用する人が増えており、さまざまなセミナーや勉強会などが各地で開催されています。今回は、生前贈与について、ご説明します。

生前贈与とは、生きている間に、財産を譲り与えることです。これを行う目的は、相続財産額を減額するためであり、死後に相続される財産を生きているうちに譲っておくことで、相続時に課税対象となる財産額を減らすことが可能になります。

ただし、生きているうちに贈与を行うと、譲り与える財産は贈与税の課税対象になります。2013年度に税制改正が行われ、贈与税の仕組みが見直されました。この税制改革は、高齢者層から若年層への資産移転を促進することが目的として実施されました。

生前贈与を使いこなす

日本では、金融資産の大部分を60歳以上のシニア世代が保有していると言われ、その多くが預貯金になっています。デフレから抜け出すことを目指している政府は、シニア層が持つ資産を若年層に移転し、教育や住宅などに資金を使ってもらうことを促す方針を、税制改革によって打ち出したことになります。

2013年度の税制改革によって、財産の移転を相続時に行うよりも、生きている間に行うことのメリットが高まりました。つまり、亡くなる前の生きているうちに贈与を行った方が税金が安くなるような仕組みになったということです。

依然は、生前贈与を受けることができるのは、20歳以上の子どもだけでしたが、現在は対象が20歳以上の孫まで拡大しています。また、贈与する側の年齢が以前は65歳以上からでしたら、現在はそれが60歳以上に引き下げられており、財産を譲り渡す側の対象範囲も拡大しています。

60歳以上の人であれば、20歳以上の子どもや孫に対して、生きているうちに財産を譲ることができるようになり、多くの人が相続時ではなく、生きているうちに財産の贈与を行うようになってきています。

もっともポピュラーな生前贈与の方法として、一般贈与を活用する方法があります。これは、毎年贈与を行っていく方法です。現在の制度では、贈与を受け取る一人につき、110万円の基礎控除が設定されています。一般贈与の場合、受け取る対象者の制限がないため、子どもや孫だけではなく、それ以外の人にも贈与することが可能になっています。

一般贈与に加えて、代表的な生前の贈与方法として、相続時精算課税制度があります。相続時精算課税制度を利用する場合、60歳以上の人から、20歳以上の子か孫への贈与である必要があります。この制度を利用することによって、2,500万円の特別控除を受けることが可能です。なお、2,500万円以上の贈与が発生する場合は、一律20パーセントの贈与税が発生することになっています。